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2020年6月19日
遺留分とは、相続の際に配偶者または子に保障された相続財産の割合のことで、遺言などでこの割合を侵害された場合には、請求することで遺留分を受け取ることができます。
この遺留分は、亡くなった方(被相続人)の配偶者・子(代襲相続人も含む)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)であり兄弟姉妹には認められていないため、相続の際に兄弟姉妹は請求することができません。
相続の際の遺留分について、兄弟姉妹が遺留分を受け取れない理由や、寄与分を請求して受け取る方法、遺留分の計算方法についてご紹介します。
被相続人が、相続人ではない人に財産を渡すように、遺言を残していることもあります。
もし、遺言書により相続人の遺留分が侵害されていた場合には、相続人が請求すること(遺留分侵害額請求)で遺留分を侵害されたとして、その損害額に相当する金銭を受け取ることができます。
※令和元年7月1日より前に被相続人が亡くなった場合、改正前民法の規定に基づき物件の返還を請求する遺留分減殺による物件返還請求等の調停の申し立てをすることになります。
それでは、遺留分の割合はどのくらいなのでしょうか。
計算方法などを確認しておきましょう。
遺留分の計算方法は以下のようになっています。
計算対象となる遺産総額 × 遺留分の割合 = 遺留分の額
計算対象となる遺産総額 = 遺産総額 + 生前贈与・遺贈額 - 債務など
遺留分の割合については、対策一覧の遺言書をご覧ください。
例えば、子どもが2人にいる家族の父親が亡くなり、配偶者である母と子ども2人で以下の金額で分割するとします。
・遺産 6,000万円
・生前贈与額 3,000万円
・債務 1,000万円
この場合のそれぞれの遺留分は、それぞれ以下のように計算できます。
計算対象となる遺産総額:6,000万円 + 3,000万円 - 1,000万円 = 8,000万円
母の遺留分:8,000万円 ×1/2 × 1/2 = 2,000万円
子1人の遺留分:8,000万円 × 1/2 × 1/2 × 1/2 = 1,000万円
それでは、この遺留分の請求には期限があるのでしょうか。
この遺留分の請求には、時効がありますので注意しておきましょう。
原則としては、相続の開始を知った日から1年以内の請求が必要となっており、これには贈与などにより遺留分が侵害されていることを知った日も含まれます。
相続の開始を知った日から1年以内に請求をしない場合で、かつ相続が開始した時から10年過ぎてしまうと、時効により遺留分を請求する権利はなくなります。
つまり、10年を過ぎてしまうと、全く遺留分を受け取ることができません。
“(減殺請求権の期間の制限)
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
引用:民法第1042条 “
この遺留分ですが、兄弟姉妹には認められていないため、遺留分を請求して財産を受け取ることができません。
相続の際には、子、親がいない場合には、法定相続人の第3順位として相続が認められている兄弟姉妹ですが、なぜ遺留分は認められていないのでしょうか。
兄弟姉妹に遺留分が認められていない理由として、第3順位の相続人であり被相続人から遠い点と、兄弟姉妹には代襲相続が認められている点が考えられます。
ただし兄弟姉妹の代襲相続は1代限りとなります。
親や子と比較して、貢献度合いや繋がりが薄いこともあるでしょう。
また、代襲相続が認められており、兄弟姉妹の子となれば被相続人と関わりがあるかどうか怪しい存在となるのではないでしょうか。
それでは、兄弟姉妹は相続人から財産を受け取ることはできないのでしょうか。
遺留分を受け取ることはできなくても、被相続人への貢献が認められた場合には、兄弟姉妹は寄与分を請求することができます。
遺留分のように割合が決まって、必ず受け取ることができる保障のあるものではありませんが、寄与分を請求することで財産を受け取ることも可能です。
平成30年度民法改正により、特別寄与料の請求権が創設されましたので、こちらのコラム「特別寄与料の請求権の創設(平成30年度民法改正)」もご覧ください。
寄与分や特別受益とは何か、遺留分との違いなどについてはこちらのコラム「遺産分割の遺留分と寄与分、特別受益について」をご覧ください。
それでは、寄与分を受け取るためには、何に注意しておいた方が良いのでしょうか。
被相続人の兄弟には遺留分がないため、寄与分を請求しようと考えた場合には、少し考えておいてほしいことがあります。
それは、生前の被相続人との関係です。
寄与分を請求する際には、被相続人の所有財産に何かしらのプラスの貢献をしたかどうか、この点が受け取れるかどうかのポイントとなります。
被相続人との薄い関係性や、少しくらいの貢献では寄与分は認められませんので、関係性は客観的に見ても寄与分を認められるほどのものか、考えてみましょう。
相続の際に、兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、遺留分を請求して受け取ることはできません。
しかし、被相続人への貢献が認められた場合には、寄与分を受け取ることもできるかもしれません。
兄弟に取って思い入れのある財産で、どうしても手元に置いておきたい財産があるなどの場合には、この方法を検討してみるのもひとつの手でしょう。