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2019年3月1日 [最終更新日]2019年10月7日 

特別寄与料にかかる相続税において2割加算の計算方法(2019年度税制改正)

被相続人の療養看護に尽くしたことにより、財産の維持増加に貢献した相続人に対する寄与分を認める制度は、これまでもありました。
平成30年度民法改正では、相続人でない人親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)にも特別寄与料をみとめる改正がなされ、2019年度税制改正では特別寄与料がある場合の相続税について明記されることになりました。
この特別寄与料に関わる相続税についてご説明いたします。

特別寄与料にも相続税は課税される

民法改正により、特別寄与料の請求権が創設され、施行されることとなりました。
この特別寄与分や寄与分がある場合の相続税計算について、以前のコラム「特別寄与料の請求権の創設(2019年度税制改正・平成30年度民法改正)」でご説明していなかった点について補足いたします。
 
特別寄与料として取得する金額は、遺贈により取得したものとして当然相続税が課税されます。

相続人の相続分から特別寄与分が出される場合

遺産分割をした後に特別寄与料の請求があり、相続人の相続分から特別寄与料分を支払う場合もあるかと思います。
その場合、相続人は相続税の課税対象となる金額から、特別寄与料分を控除できます。

特別寄与料は2割加算で相続税を計算する?

特別寄与料の請求権は、これまで療養看護で貢献したものの、財産を相続することができなかった者が、特別寄与分を請求できるようにした制度です。
そのため、相続や遺贈、相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得した特別寄与者の相続税額は、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)または配偶者以外の人である場合、2割に相当する金額が加算されます。
特別寄与料にかかる相続税は、2割加算で計算するということを覚えておきましょう。

特別寄与料にかかる相続税の計算方法

それでは、以前のコラムでご説明した、寄与分と相続税の計算方法(例3,例4)に補足して、特別寄与分による相続税について計算していきます。
 

例3)財産1億5000万円を法定相続分で分ける(特別寄与分あり)

子A配偶者(被相続人の養子になっていない)に特別寄与分300万円、残りの1億4700万円を法定相続分で子A・子B・子Cに分割して4,900万ずつ相続
 
1億5,000万 – 基礎控除額4,800万(3,000万+600万×3人) = 1億200万円
 
 子A 1億200万 × 1/3 = 3,400万円
 子B 1億200万 × 1/3 = 3,400万円
 子C 1億200万 × 1/3 = 3,400万円
 
 各子の相続税:3,400万 × 20% – 200万 = 480万円
 相続税の総額:480万 × 3 = 1,440万円
 各子の相続税:1,440万 × 4,900万/1億5000万 = 470万4000円
 子A配偶者の相続税:1,440万 × 300万/1億5000万 × 1.2 = 34万5600円
 

例4)財産1億5000万円を法定相続分で分ける(特別寄与分あり)

子Aは亡くなっており、さらに子どももいない。子A配偶者(被相続人の養子になっていない)に特別寄与分300万円、残りの1億4700万円を法定相続分で子B・子Cに分割して7,350万円ずつ相続
 
1億5,000万 – 基礎控除額4,200万(3,000万+600万×2人) = 1億800万円
 
 子B 1億800万 × 1/2 = 5,400万円
 子C 1億800万 × 1/2 = 5,400万円
 
 各子の相続税:5,400万 × 30% – 700万 = 920万円
 相続税の総額:920万 × 2 = 1,840万円
 各子の相続税:1,840万 × 5,400万/1億5000万 = 662万4000円
 子A配偶者の相続税:1,840万 × 300万/1億5000万 × 1.2 = 44万1,600円
 
計算してみますと、特別寄与分を受け取っても相続税を支払うことにより、受け取れる金額が減ってしまうことがわかるのではないでしょうか。
贈与ですと1年間300万では、贈与税は35万円(300万円×15%-10万円)となります。
生前贈与加算の対象となるのは、被相続人により相続又は遺贈により財産を取得した人です。
特別寄与分を請求する際には、これらの観点からも請求するかどうか決めても良いかもしれません。
特別寄与分にかかる相続税について、相続税の計算方法などもご確認ください。

特別寄与料による財産は相続税申告と納税が必要

特別寄与料にかかる相続税については、財産取得の事由を知った日から10ヶ月以内に申告する必要があります。
相続税申告では、相続税を計算して作成した相続税申告書を税務署に提出して、相続税を納付します。

特別寄与料による更正の請求について

相続人の相続分から、特別寄与料を支払った場合には、相続税の課税対象額から特別寄与分を控除できるとご説明しました。
相続税申告後に特別寄与分を渡した際には、寄与分をもらった特別寄与者は相続税の期限後申告または修正申告をする必要があります。
特別寄与分を支払った相続人の方は、更正の請求手続きを行うことをお勧めいたします。
自分で手続きをしなければ、納税しすぎた税金は戻ってきません。

特別寄与料の請求は相続税計算をして考えてみよう

相続人以外の配偶者にも、寄与の請求が可能となった特別寄与料の請求権ですが、この特別寄与分にも相続税がかかります。
請求をお考えの際には、特別寄与料にかかる相続税についても考慮し、請求するかどうか決めることをお勧めいたします。
また、請求してもすべてが認められるとは限りません。療養看護に尽くしたことにより、被相続人の財産の維持増加に貢献したと証明する必要があります。
かなりの資料を準備しなければなりません。
実際に請求を考える場合には、弁護士に相談をすることをお勧めいたします。
相続や生前対策について、ご不明な点や不安な点がありましたら、ぜひ1度ご相談いただければと思います。

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