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2018年11月30日 [最終更新日]2019年8月6日

配偶者居住権の相続税評価はどうなる? 評価方法について(2019年度税制改正)

創設された配偶者居住権が2020年4月1日より施行され、相続税評価など相続における評価方法が変わります。
2018年の民法改正による配偶者居住権に関して、土地評価額の違いや相続税評価額における相続税計算、評価方法についてご説明します。

民法改正で配偶者居住権の創設

2018年(平成30年)に民法および家事事件手続法の一部法改正が成立したことで、配偶者居住権が創設されました。
配偶者居住権は、住宅の相続権を所有権と居住権に分けた際の、居住権にあたります。
民法改正により、配偶者居住権で居住権を得た配偶者は、亡くなるまでその住居に永久に住むことができるようになります。

小規模宅地の評価方法における土地評価額の違い

土地や住宅など不動産の相続税を計算する際には、財産評価として土地評価などを行います。
土地評価の方法によっては土地評価額が異なることもあり、土地評価額はできるだけ低くかつ正確な評価額であることで、相続税額を抑えることも可能です。
 
具体的に評価額は、固定資産税評価額・相続税路線価・公示価格・時価(基準地価)と4種類の金額があります。
よく言われていますのは、公示価格を100として比較すると、固定資産税評価額は70、相続税路線価は80くらいになるということです。
 
路線価について
銀座に1軒家を持っていた場合の相続税を計算してみた
銀座鳩居堂前の土地の相続税を最新の路線価から計算してみた
基準地価について
基準地価の全国平均が27年ぶり上昇、札仙広福では顕著

小規模宅地など不動産相続では特例適用

この不動産の相続税法上の土地評価額は、原則として財産評価基本通達に基づいて計算され、どの評価額にするかを選ぶことはできません。
ですが、相続税を計算する際には、小規模宅地の特例などで土地評価額を下げ、相続税額を抑えることも可能です。
小規模宅地の特例について、平成30年度税制改正では特例改正などもありましたので、確認しておくことをお勧めいたします。

配偶者居住権による相続税評価額の計算方法

この相続税評価額の計算方法ですが、2019年度税制改正(平成31年度税制改正)で明確な基準がまとめられました。
配偶者居住権や所有権の評価額について計算方法などをご説明します。
配偶者居住権の相続税評価額を算出した後、その相続税評価額を元に相続税を計算することになります。

配偶者居住権の相続税評価額の計算方法

配偶者居住権を適用した場合には、居住権の評価額を算出して相続税を計算する必要があります。
以下の評価額を計算する際の建物の時価や土地の時価は、配偶者居住権が設定されていない場合における建物や土地の時価として計算します。
 
評価額 = 建物の時価 – 建物の時価 ×( 残存耐用年数 – 存続年数 ) / 残存対象年数 × 存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
 
残存耐用年数 = 所得税法により定められている居住建物の耐用年数 × 1.5 – 築後経過年数
 
存続年数については、配偶者の終身までを配偶者居住権の存続期間とする場合、配偶者の平均余命年数として計算します。
それ以外の場合には、配偶者の平均余命年数を上限として、遺産分割協議などで定められた配偶者居住権の存続期間年数とします。

配偶者居住権における建物所有権の相続税評価額

相続で配偶者居住権を適用し、居住権ではなく所有権を相続した場合に、所有権の相続税評価額は以下の計算方法で計算します。
この所有権の相続税評価額に相続税がかかってきます。
 
所有権の評価額 = 建物の時価 – 配偶者居住権の価額

居住建物がある敷地利用権の相続税評価額

居住建物のある敷地を相続する場合には、相続税評価額は以下の計算式で算出します。
 
利用権の評価額 = 土地等の時価 – 土地等の時価 × 存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

居住建物がある敷地所有権の相続税評価額

敷地所有権の評価額は、敷地利用権の評価額を土地の時価から差し引いて計算します。
 
所有権の評価額 = 土地等の時価 – 敷地の利用に関する権利の価額
 
相続税の具体的な計算についても確認しておきましょう。

配偶者居住権の相続税評価額はどう計算する? 計算方法について

配偶者居住権により、相続税課税対象財産における相続税評価額が変わってくるでしょう。
配偶者居住権を適用して住宅を相続する場合には、配偶者居住権と所有権でわけて相続するため、住宅の相続税評価額をそれぞれの権利で分割します。
例えば、評価額3,000万円の住宅を、1,000万円の配偶者居住権と2,000万円の所有権に分けるといった感じです。
具体的に、配偶者居住権で住宅を相続した場合の相続税について計算してみました。

配偶者居住権における相続税の計算例

配偶者居住権における相続税の計算方法
 
上の表で、妻は住居1,500万円の配偶者居住権を相続、残りの所有権を子が相続。
預貯金6,000万円を法定相続分で分割、妻は預貯金3,000万円、子はそれぞれ預貯金1,500万円を相続したとします。
9,000万円 – (3,000万円 + 600万円 × 3) = 4,200万円
基礎控除額を超えてしまうため、相続税申告・納付が必要です。
それぞれ、以下のように相続税を計算します。
 
*妻の相続税:4,200万円 × 1/2 = 2,100万円に課税
2,100万円 × 15% – 50万円 = 265万円
配偶者控除が適用され、配偶者の法定相続分に相当する相続税額までは控除されるため、相続税は0円となります。
 
*子の相続税:4,200万円 × 1/4 = 1,050万円に課税
1,050万円 × 15% – 50万円 = 107.5万円
未成年者控除や障がい者控除などがない限りは、この相続税を納付します。

婚姻期間20年以上の夫婦で自宅を配偶者贈与する場合の相続税計算

配偶者居住権の贈与税
 
上の表のように、妻は生前に住居3,000万円を贈与されていたとします。
この場合、住居は遺産分割の対象から外れ、預貯金6,000万円のみを分割します。
今回は預貯金を法定相続分で分割、妻は預貯金3,000万円、子はそれぞれ預貯金1,500万円を相続したとします。
6,000万円 – (3,000万円 + 600万円 × 3) = 1,200万円
基礎控除額を超えてしまうため、相続税申告・納付が必要です。
それぞれ、以下のように相続税を計算します。
 
*妻の相続税:1,200万円 × 1/2 = 600万円に課税
600万円 × 10% = 60万円
配偶者控除が適用され、相続税は0円となります。
 
*子の相続税:1,200万円 × 1/4 = 300万円に課税
300万円 × 10% = 30万円
未成年者控除や障がい者控除などがない限りは、この相続税を納付します。
 
相続税の計算方法についてもご確認ください。

配偶者居住権の相続税評価額や課税について

配偶者居住権を適用して相続税を計算する際には、評価額の計算に注意して計算することが重要です。
配偶者居住権の設定登記が必要な場合には、相続税の他にも登録免許税や固定資産税もかかってきます。
登記や登録免許税に関して詳しくは、コラム「配偶者居住権の登記と登録免許税など(2019年度税制改正)」や2019年度税制改正大綱などでご確認ください。
 
また、配偶者居住権と併せて民法改正により施行が決まった「特別寄与料の請求権」についてもご確認いただければと思います。
税制改正による相続税の計算方法における変更に関して、ご不明な点や不安な点、確認したい点などありましたら、ぜひ無料ダイヤルからご連絡くださいませ。

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